BAR灯
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2017年3月3日金曜日
狐面
緋色の襦袢に袖を通す恋人は
お狐さんになりましょうよと
白い狐面で微笑みを隠します
いつもはかない夜の向こうは
まばゆい月が浮かんだ桃の園
ゆらりゆらゆら春風が吹けば
濡れている髪を小指に絡めて
恥じらうように花びらになる
血の色の瞳の狐に化けたまま
死ぬほど抱いて抱き締めれば
三角耳の影は細い腕を曲げて
すきとおる声で夜空に鳴いた
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