2017年6月20日火曜日

くちなし

くちなしの道で貴女に逢ったとき

恋人を選ぶようにきらきらした眼差しで

咲きかける花を盗んでいたのです

甘い香りに濡れた指に白いくちなしが

恥じらうように身をまかせていました

足音に気づいた貴女は

ルノアールの少女にように

その花を乳房にあてがい

月のひかりのように見つめたのです

なんとも愛らしい姿のひとつの罪よ

ふふと笑うとふふと微笑んで

梅雨の夜の風が吹いて

いっそう甘く香るくちなしの道を

花の盗人は細い足で逃げて行ったのです

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