2022年5月20日金曜日

俳句

 



朱い実の落ちて潰れて秋深し


愚痴ならべ聞く人もなく初笑い

水仙は薄陽の白を盗みけり

木漏れ日を一歩一歩や老の春


春さんへ小さい花ですいません

春の昼猫もわたしもごろ寝よし

雀の子おにぎり分ける野宿人

そぼそぼと紅濯がれて落椿


風も陽も三月

生きのびて春


野鳥たちソプラノ競う立夏かな

道端に風も見過ごし初夏の精

火砲鳴る悲劇に悲劇母の日も

呼子鳥九条一宇鳴いたとさ


走り梅雨猫の欠伸を貰いけり


2022年4月7日木曜日

 クロッキー会 2022・4・6



2021年10月31日日曜日

2021年5月14日金曜日


 着衣クロッキー 
※横浜市民ギャラリーの講座

2020年12月10日木曜日



 神奈川県・三浦半島

三浦市宮内町八景原の断崖に古い供養塔が建っている

伊勢や志摩の貧村から三崎遊郭に売られてきた娘たち

遊郭の苦しい暮らしから逃れて我が身を投じたと云う

故郷に続く青い海であることがせめてもの救いだろう


凍凪や人買船は苦海ゆく

遊女棄つ八景原の月時雨

帰り着け凍凪の果て飢えた家

売り棄てた娘にせがむ木綿夜着

凍凪や名残の菓子の遊女塔

2020年6月13日土曜日

紫陽花

生きている紫陽花咲いて陽が射した

五月の夜うしろの影は誰だろう

初夏や街の緑を数え行く

柿若葉吾の老いなど知らぬげに

疫神に譲れぬ命花は葉に

山繭に翠の女神棲む噂

この時を生き延びている花明り

啼く鳥や広野は淡き春時雨

白い猫一睨みして花の影

ひょうろひょろ影は李白の花月夜

春疾風果て無き空の果ての無さ

餌やりは子猫の皮を遺しけり

2019年10月7日月曜日

秋の句


秋天にLove is Blue輝けり

海に空色なき風の絵筆かな

鰯雲こんがり焼けて薫るほど

酒に月ひとり詠む句の夜寒かな

ごん狐見上げてぼっち十三夜

波が打ち処暑の葉山がセロを弾く

猫ゴロンなにやら嬉し上り月

少年故郷残像秋時雨

寄する波静寂が吸ふて秋時雨

酌むほどに秋雲となる現世かな







2019年4月6日土曜日

春の句

西行に召されし従姉花の雨 
岡田史乃 没 2019年3月23日

うふふ春ちひさな花が頬笑むよ

とぼとぼと空いつぱいの春に逢ふ

風の笛水の琴聞く花筏

てんでんに春に舞ひ出づ過客哉

2019年1月19日土曜日

幸せ

ジーンズ色の凍る空
歩道の泥の吹き溜り
すきとおる虹色の花
ちいさな命が生れた

花の影は細々のびて
淡い陽を健気に掴む
行き交う靴音に怯え
街は灰色に夕暮れる

咲いてはならぬ日に
咲いてはならぬ所で
無慈悲な祝福の命よ

教えてくれないかい
幸せとは何だろうね
哀しい微笑みの花よ

2018年8月22日水曜日

みずき

みずきの花のさびしさは

真白く咲いたその日です

もう帰れぬ花嫁のように

微笑みばかりなげかける

2018年7月5日木曜日

蝶トンボ

あなたはね

まるで蝶トンボでせう

水辺の草にとまつたまま

青い羽を見せびらかす

とても意地悪よ


捕まへやうとしたら

わたくしの手にとまつて

暫くは夢のやうに喜んだのに

あつと言ふ間にお空へ逃げたのよ


夏色の陽のなかで

全く不器用な飛び方でしたね

おほよそ

スマートな蜻蛉とは違ふのだもの


ご自慢の青い羽を

さも重さうに億劫さうに

飛んでゐるのが見えました


2018年2月18日日曜日

鬼ごっこ

こんこん小雪が舞いまする

森にも里にも舞いまする

しんしんしずかな雪の夜

だあれもいない雪の夜


いたちの子 ひとりぼっちで鬼ごっこ

ぴょんぴょんはねて鬼ごっこ

母さんも雪といっしょに降ってこい

いたちの子 ひとりぼっちで鬼ごっこ

ぴょんぴょんはねて鬼ごっこ

母さんのまぼろし追いかけ鬼ごっこ


そこに天女が舞いおりて

鬼さんこちらと呼びました

いたちの子 こわごわ追いかけて

天女はおいでおいでと逃げました

白い雪にはぽつぽつ小さな足あとばかり


いたちの子 そっと天女の手をつかまえた

母さんみたいな手のやわらかさ

天女はいたちの子を抱っこして

母さんみたいな乳房のあたたかさ


しんしんしずかな雪の夜

だあれもいない雪の夜


いたちの子 あそびつかれて雪のとこ

母さんの夢といっしょに雪のとこ

ひとりぼっちじゃないんだよ

もう泣かないよ もう泣かないよ

母さんと鬼ごっこ 母さんと鬼ごっこ


2017年6月20日火曜日

くちなし

くちなしの道で貴女に逢ったとき

恋人を選ぶようにきらきらした眼差しで

咲きかける花を盗んでいたのです

甘い香りに濡れた指に白いくちなしが

恥じらうように身をまかせていました

足音に気づいた貴女は

ルノアールの少女にように

その花を乳房にあてがい

月のひかりのように見つめたのです

なんとも愛らしい姿のひとつの罪よ

ふふと笑うとふふと微笑んで

梅雨の夜の風が吹いて

いっそう甘く香るくちなしの道を

花の盗人は細い足で逃げて行ったのです

2017年6月11日日曜日

沙羅

うすぎぬの沙羅のはなさくゆふぐれに

こひびとの影はみづのやうにあやうゐ

好きになる心はとても苦痛なのですよ

あなたに逢へば散つてしまふ命でせう

きんじられた人の愛しさその恋しさは

水辺におちる蛍の妖しい炎のやうです

かなしい微笑みは夕闇に消へてしまふ

はらはらはらはらと舞ひ落ちてしまふ

2017年5月11日木曜日

青い恋

青色すがたのひとでした
背の高い紳士にだかれ
雨のワルツを踊る

華奢な背中をゆらし
美しい横顔に微笑み浮かぶ

ぼくは青葉の陰で
雨の滴になって
見つめてた

しとしとしと
はかなげ あやうげ
絹の雨

しとしとしと
ぼくの涙 流れ流れ
散りまする